Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2007.2〜2007.4) |
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ここのところ、足が遠のきがちとなっている尾瀬ですが、大学に入った年、サークルの先輩に初めて連れていってもらったときのことは、いまでもはっきりと思い出されます。春に咲く花の種類や数がピークを迎える6月、尾瀬ヶ原や尾瀬沼にテントで泊まって、新緑の山道や湿原の木道をめぐり歩いたことは、植物への興味をかき立てられるきっかけともなりました。 そのときに強く印象に残った植物の1つにサンカヨウがあります。6枚の花弁のついた純白の花は、「清楚な」ということばがまさにぴったりで、なかには春の訪れを待ちかねたように、まだ葉が広がらないうちから花を開くものさえあります。その一方で、葉は花のふんいきと大きく異なってフキのように大きい上、のこぎりのようにするどい鋸歯まであって、この対照的な花と葉がなんともおもしろい取り合わせです。 尾瀬では、ブナの樹林下などのすこし湿ったところで、ルイヨウボタンやショウジョウバカマとともに見かけることの多いサンカヨウですが、もう少し標高の高いところでは、ダケカンバやミヤマハンノキが生え、遅くまで雪が残るような斜面で目にするようになります。遅い春を迎えた夕張岳の上部では、サンカヨウをはじめ、ピンクのシラネアオイや黄色いフギレキスミレなどの色とりどりの花たちが、雪が消えてまもない登山道に沿って咲きみだれていました。 (2006.7.8 北海道夕張岳) ○野生植物図鑑「サンカヨウ」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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