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神奈川県で暮らすようになって20年あまりが過ぎましたが、丹沢・箱根や、鎌倉・三浦半島の周辺を中心に、転居前のイメージ以上に自然豊かで、古木・巨木が多いことに気づき、山あいや盆地などの空中湿度のある環境に出向いた際に、こうした樹々に着生するランを観察する機会を得ることができました。 着生ランといっても、分類的にも生態的にも多種多様で、日本に分布するものに目を向けると、ムカデランやクモランのような「張りつき型」、ウチョウランに見られるような「立ち上がり型」、ボウランやヨウラクランなどの「ぶら下がり型」などがあります。水や栄養分をどのように吸収するかや、光合成のスタイルなどが反映されているのでしょうが、下向きに茎をのばして葉を左右に広げ、その先に花をつけるカヤランは「ぶら下がり型」のランといえます。 里山や低山の古木に着生することの多いカヤランは、鈴なりにつく黄色い花と相まって、わりあいに目につくことの多い種類ですが、なかなか間近に見るチャンスはありません。台風などで、ついた枝ごと地表に落下したものを持ち帰っても、次第に衰弱、枯死してしまうといい、湿度や光などの好適な環境を選んで生えていることの証左なのでしょう。写真のカヤランは、手が届く高さのものが見当たらず、三脚と200mm望遠レンズを引っぱり出してようやく撮影がかなったものです。 (2025.4.24 神奈川県鎌倉市) ○野生植物写真館「カヤラン」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |