Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2006.5〜2006.7) |
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春の低山の花といえば、キクザキイチゲやカタクリをはじめとした、「スプリング・エフェメラル」(spring ephemeral、春のはかない(短命な)もの、転じて春の妖精の意)と呼ばれるキンポウゲ科やユリ科の草本が代表的ですが、コチャルメルソウやネコノメソウなどのユキノシタ科も、地味ながらもよく見かける植物の1つです。 日本には、17種ほどのネコノメソウが分布するといい、地域ごとに変種や品種を含めてさまざまな種類が分化し、多くは日本の特産となっています。また、近年になって新種がいくつか報告されるなど、活発な研究活動が進められているグループでもあります。いずれも沢や湿地などの湿りけのあるところに生え、一面に群生することもめずらしくありません。早いものは2月には咲きはじめ、まだ枯葉色の景色の中では、はやばやと広げた葉もよく目立ちます。 植物が豊富なことで知られる高尾山は、ネコノメソウについても例外ではなく、3月に登山道を歩くと、ヨゴレネコノメ、ヤマネコノメソウなど多くのネコノメソウを見ることができます。なかでもハナネコノメは東日本を代表するネコノメソウの1つで、赤いおしべをつきだした白い花は、小さいながらも、この仲間としては出色の魅力をそなえています。高尾山では、登山道近くを流れる沢に降りてみれば、岩にはりつくようにして群生するハナネコノメを見ることができます。 (2006.3.21 東京都高尾山) ○野生植物図鑑「ハナネコノメ」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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