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表紙によせて

 名前に「金梅」とつく植物の多くは、キジムシロ属かキンバイソウ属に含まれます。いずれもウメを思わせる花をつけ、そのあざやかな色を金色とみてついたものでしょう。ミヤマキンバイはウメと同じバラ科で近縁ですから、花が似ているのはもっともとしても、キンバイソウの花弁のような萼片は5〜7枚とさまざま、花のかたちもさほどウメに似ていると思えません。上向きの花からは金色のさかずき、つまり「金杯」が連想されますが、ふつうは「きんぱい」と読むのでこれも当を得ているとは言えなさそうです。
 
 キンバイソウ属は高原や高山の草地に生えますが、圧倒的にメジャーなのが高山のお花畑を構成するシナノキンバイで、この属の名を冠したキンバイソウの知名度は今ひとつ、わたしもこの花が咲くころは高山に足が向きがちなこともあって、写真がほとんどないままでした。霧ヶ峰伊吹山が自生地としてよく知られていますが、かねてから、いちど訪ねてみようと思っていた乙女高原に出かけることにしました。
 
 乙女高原は旧牧丘町の北西部にあり、かつてスキー場として利用されていた草原が自然観察エリアとして整備され、さまざまな高原の植物を目にすることができます。目的地に近づくにつれ、草原をわたる風にゆれるたくさんのキンバイソウが目に飛びこんできました。よりどりみどりでカメラを向けることができ、充実した朝の散策となりました。

         (2010.7.25 山梨県甲州市)

○野生植物写真館「キンバイソウ」
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