Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2023.11〜2024.1) |
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年の暮れに旬となる植物というとどうしても種類が限られてしまい、秋〜冬にトップページを飾るのは、ここ数年、キク科やベンケイソウ科が多くなっています。宮城県には、松島や三陸海岸をはじめとして海岸に岩場や崖が多くあり、11月に花期を迎える関東よりも早く、10月下旬にはこういった種類が海岸で満開になるだろうと足を向けてみました。 この年の夏に放映されたNHKの「ブラタモリ」でも特集されていましたが、松島周辺は凝灰岩でできている地形が多く、海ぎわは波によって削られた「海食崖」となっていて、岩が折り重なったような地形はあまり見られません。現地を訪ねると海に細く突き出た小さな岬が目につき、尾根の踏み跡をたどってその1つを進むと、アカマツの明るい樹林下に咲くコハマギクがちらほらと現れました。 シオン属やキク属などのいわゆる「野菊」は、積極的にわたしが観察しているグループの1つですが、コハマギクは国内の分布域が北海道〜関東北部ということもあって、花期にこのエリアの海岸に足を向ける機会が少なく、これまで実見したのは茨城県だけでした。 この地域のコハマギクは、キク属としては北寄りの分布域の種類のせいか、南端の茨城県よりもふつうにみられ、海岸べりだけでなくやや内陸にもあって、いわばノコンギクのような立ち位置という印象を受けました。今回はもっと海に近い環境に生えるハマギクや、道路法面ではアワコガネギクも見ることができ、ひさびさに野菊三昧の一日となりました。 (2023.10.29 宮城県) ○野生植物写真館「コハマギク」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |