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偶然、自宅の近くにトリカブトの自生地があることを知ったのは、この前の年のこと、そのときはあまりよく観察もせず、ヤマトリカブトとばかり思っていました。ところが、「神奈川県植物誌2001」で確認したところ、ヤマトリカブトは丹沢や箱根の山地を中心に分布し、県内の平地の丘陵に生えるのはツクバトリカブトということがわかりました。 ツクバトリカブトは、葉が深く裂けることでヤマトリカブトと区別できるというのに、花柄の毛の状態ばかり気にして、葉の形まで観察しなかったのが早とちりの原因でした。本州中部の高原でよく目にするツクバトリカブトですが、亜種名“maritimum”は英語の“marine”と同じく海のことで、海の近くに生えるトリカブトを意味しており、わたしが見たツクバトリカブトは、じつは学名にぴったりの環境に生えたものということになります。 トリカブトの仲間は、高山や高原では8〜9月が花期となりますが、この自生地では、10月中旬、前日からの雨がやむのを待って再訪すると、ようやく花が満開となったところでした。あたりではケヤキやクヌギの黄葉がはじまり、周囲の草たちも黄色に色づきはじめた中で、ツクバトリカブトの青紫色だけがよく目立っていました。 (2005.10.16 神奈川県藤沢市) ○野生植物図鑑「ツクバトリカブト」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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