Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2022.2〜2022.4) |
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全国各地に出向いてさまざまな種類を見てみよう、と意識してきた植物の1つがキク属です。舌状花のある黄色い頭花をつけるキクの代表がシマカンギクとアワコガネギクですが、九州などでは海岸沿いや山地の崖地でふつうに見られるシマカンギクに対し、アワコガネギクの自生地は東北〜近畿の分布域内でも点在する程度で、目にする機会は少めです。 和田峠は東京・神奈川の県境に位置し、陣馬山から少し下ったところにあって、高尾山から縦走するハイキングコースの終着地点でもあります。峠道に咲くアワコガネギクを久しぶりに見ようと思い立ち、暗いうちに自宅を出発しました。 現地に着いて峠周辺を散策すると、以前よりアワコガネギクが少なくなっているのはやむを得ないとして、ガレ地の林下の斜面に生えるもののほかに、道路わきでやけに大きく成長したアワコガネギクが目につきました。株元からいくつも茎を分け、茎頂だけでなく、葉のつけねからも花序を伸ばしてたくさんの頭花をつけています。 近年、土留めや緑化目的で法面に散布される韓国や中国由来の種子に混じって、これらの国原産のアワコガネギクが侵入していることが各地から報告されていて、どうやらこの大型のアワコガネギクもそれのようです。ここはもともとアワコガネギクが自生する環境だけに、もしそうなら、両者の交雑により遺伝子かく乱が生じてしまうことが懸念されます。 (2021.11.7 神奈川県和田峠) ○野生植物写真館「アワコガネギク」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |