Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2021.8〜2021.10)






表紙によせて

 新型コロナウイルスの発生により、2020年からずっと、思うように山歩きできない状況がつづいているのはやむを得ないところですが、さしつかえない範囲で神奈川県内の植物を見つめなおす機会となっています。県内では植物の種類の多い箱根や三浦半島も、植物観察に力を入れはじめたころは足しげく通ったのに、「この植物を目当てに」ということが少なくなった最近は、季節によっては足が遠のいていました。

 三浦半島の先端部は崖地が多く、その内陸側の草原も含めてさまざまな環境があって、イソギクワダンといった海岸岩場の植物のみならず、草原に生えるノコギリソウカナビキソウも見られます。気づけば、7月の三浦半島はもう10年以上もご無沙汰で、スカシユリが咲きはじめているだろうと、春にアツバスミレを見つけた海岸を再訪してみました。

 わずかな踏みあとをたどっていくうちにオレンジ色の花が現れはじめ、遠目にもスカシユリだとわかります。ここでは思った以上にたくさんのスカシユリが生えていて、思い思いに開いた花の数々をじっくり撮影しました。写真は、大きな花束を岩場に立てかけたように放射状に咲いていたもので、やや仰ぎぎみのアングルでフレッシュな花の表情をカメラに収めることができました。

       (2021.7.11 神奈川県三浦半島)

○野生植物写真館「スカシユリ」
「表紙によせて」バックナンバー