Home >表紙によせて > 表紙によせて(2016.8〜2016.10) |
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箱根をめぐってたどり着いた池のほとりには、遠目にもそれと分かるピンク色の花をつけたサンショウバラがならんでいるのが目に入りました。これまで、すでに花が終わっていたり、まだつぼみだったりしたサンショウバラですが、この日はなかなか見ごろの花に会えないモヤモヤも一気に吹きとぶような、みごとな野生のバラ園を散策できました。 サンショウバラは高さ6mになり、日本に自生するバラでは大型の種類です。ノイバラのようにブッシュ状にならず、幹はしっかりと直立し、おまけに大木では幹の直径は10cmにもなって、世界のバラでもっとも太いといいます。一方で、9〜19対の小葉からなる奇数複葉や、一重でも大輪の花など、バラらしい装いもありますが、この花は、朝に咲いて夕方には散ってしまう「一日花」で、花つきもよいのにもったいない気持ちになります。 サンショウバラは、バラ属のなかでも、わずか3種からなるサンショウバラ亜属に位置づけられています。また、フォッサマグナ要素の植物としても知られ、第四紀に入ってからの激しい気候変動のもとで、火山活動によるオープンな環境で分化した植物群とされます。同じ亜属のバラは、遠く離れたヒマラヤ、中国中部から知られるのみで、直立する樹姿やトゲが密生した果実など、このバラの特徴的な形態は、古い形質を残したまま遺存的にこの地域に分布したものかと想像をふくらませてしまいます。 (2016.6.12 神奈川県箱根) ○「サンショウバラ」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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