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表紙によせて

 オオミスミソウミスミソウの品種で、新潟県を中心とした本州の日本海側に分布し、山地の樹林下に生えます。白から濃紫色まで花色の変化に富んでいるのが特徴で、交配により園芸的に育成された品種には八重や覆輪咲きのものもあって、「雪割草」の名前で古くから親しまれてきました。

 わたしは以前、佐渡島でオオミスミソウを観察したのですが、時間の関係で十分に見きれなかったこともあり、本土側の自生地も訪ねたいと思っていました。ところが、満開となる3月末〜4月初は週末の天気が悪かったり、用事があったりでなかなか実現できないままでした。この年の春、翌日の現地は晴れるとの予報を得て、まだ雪におおわれた上越国境の山々を横目に見つつ、関越道を抜けて自生地へと向かいました。

 身じたくを調え、背後に海が広がる登山道を進むにつれ、左右にさまざまな色の花をつけたオオミスミソウが現れました。まるで地面に星をちりばめたようで、まさに百花繚乱です。目移りしながらカメラを向けたなかで、わたしが気に入ったのが写真のオオミスミソウです。枯れ色の草むらで遠慮するように咲いていましたが、この色ではどうしても目立ってしまいます。いつまでも咲きつづけるよう願いつつ、その場をあとにしました。

          (2016.3.27 新潟県新潟市)

「オオミスミソウ」
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