Home > 表紙によせて > 表紙によせて(2014.11〜2015.1) |
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関東地方を足場とするわたしにとって、九州はそこまで出向かないと見られない植物の多いあこがれの地であり、といって時間も費用もかかり、そうおいそれとは訪問できないはるかな地でもあります。 九州の植物を特徴づけるポイントの1つに「満鮮要素」の植物があります。満洲と朝鮮からとった名称からもわかるように、ユーラシア大陸東北部を本拠とする植物群で、かつて大陸と日本列島が地続きだったころに分布を広げ、気温の上昇とともに日本列島が島となったのちも生き残った植物たちです。 九州は朝鮮半島と近いだけに満鮮要素の植物の種類が多く、とりわけ阿蘇やくじゅうは大陸と自然環境が近いのか、ヒゴタイやシオンのように乾燥した草地に生えるもののほか、ヒゴシオンやマンシュウスイランなどの湿地をすみかとするものもあり、種数・個体数とも国内随一の地域です。 ヒゴシオンの大輪で青紫色の花はまるで園芸植物のようで、あまり似たようなものは見あたりませんが、大陸にルーツがあるとすればなんとなく合点がいきます。人がめったに立ち入ることもなさそうな窪地にできた湿地では、いまを盛りとヒゴシオンのお花畑が広がっていました。 (2014.9.30 熊本県) ○野生植物写真館「ヒゴシオン」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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