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  表紙によせて
 日本に分布するホトトギス属の植物のうち、「ジョウロウホトトギス」の名前を持つものは4種類、これまでに見たことがあるのはサガミジョウロウホトトギススルガジョウロウホトトギスと、東日本に分布するものばかりでした。その本場というべき西日本のこの仲間のうち、四国から知られるジョウロウホトトギスはかなりまれな種類らしく、それではと、キイジョウロウホトトギスを求めて紀伊半島へと出かけました。
 
 南紀白浜空港に降り立ち、レンタカーで紀伊半島南部の川の上流を訪ねてみると、川をはさんで遠くにある岩壁に、びっしりと群生しているキイジョウロウホトトギスが目に入りました。まずは「ないわけではない」と一安心したものの、なかなか手が届くようなところにはなく、やはり身近なものは心ない人によって持ち去られてしまったのかもしれません。それでもあちこちを移動して回るうちに、なんとか撮影におあつらえ向きの群落を見つけることができました。
 
 キイジョウロウホトトギスが生えていたのは、やっぱり川沿いの垂直に近い岩壁で、湿度や日当たりなど、さまざまな環境条件がととのったところだけを選んでいるもののようです。近くで見るキイジョウロウホトトギスは、サガミやスルガよりもはるかに大型で、光沢のある葉はかがやき、花もたくさんついて、いかにも豪華なようすが印象的でした。

          (2008.10.5 和歌山県)

○野生植物図鑑「キイジョウロウホトトギス」
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