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私の学生時代の恩師の一人であるH先生は、サザンカをはじめとしたCamellia属がご専門で、ヤブツバキとサザンカのちがいといった初歩的なことから、いろいろと教えていただきました。私が研究室に在籍していたころは、ヤブツバキの園芸品種に黄色い花色を導入するため、中国原産のキンカチャ(金花茶)をヤブツバキに交配し、幼胚培養することで雑種をつくりだすことにも取り組んでおられました。 この仲間は中国南部から東南アジアにかけて遺伝資源の中心があり、H先生らによる遺伝資源の探索の結果、近年、ベトナムでCamellia属の新種としてCamellia rubriflora(ルビーのような赤い花のツバキの意)など数種が発見されたそうで、今後、これらの新種は育種素材として、園芸品種への活用も期待されます。 このようにヤブツバキは、日本原産の花木の中でも、園芸化が意欲的に取り組まれてきた種類の一つですが、海岸近くに生えている野生のヤブツバキも、園芸品種に負けず劣らずにたくさんの花をつけ、赤と深緑のみごとなコントラストで早春の野山をあざやかに彩ります。写真は、満開となったヤブツバキの大木から、とくに花を密につけたところを探して望遠レンズで切り取ったものです。 (2005.2.12 神奈川県葉山町) ○野生植物図鑑「ヤブツバキ」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |
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