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その数を減らしているものの多いラン科の植物の中でも、アツモリソウの仲間はとくにいちじるしく減少している種類です。最大の理由はもちろん盗掘によるもので、各地で乱獲されて今や目にする機会もまれになっています。ホテイアツモリソウやレブンアツモリソウのみならず、キバナノアツモリソウのようにさほど鑑賞価値が高いと思えないものまで、その希少性ゆえか盗掘されて山野草店でならんでいるのが実態です。盗掘が後を絶たないのはそれを高く買い取る人間がいることも原因で、私たちそれぞれの意識改革も大きな課題といえます。 キバナノアツモリソウの自生地として知られるこの山を訪ねると、先客がいたおかげで思っていたよりもすぐに見つかりましたが、聞けば去年よりも数が少なくなっているとのこと、盗掘にあうことなく、また来年も花を咲かせることを祈りながら、後ろ髪を引かれるような思いでその場を去りました。私たちはいつまでこのような思いをしなければならないのでしょうか。種としての存続さえおびやかされている植物を確実に守ることのできない、現在の「国立公園法」や「種の保存法」が見直され、実効性のある制度となることを期待しています。 ○関係リンク先:「植物採取についての私の考え」(春日さんのHP「日本の野生植物」) (2004.7 山梨県) ○野生植物図鑑「キバナノアツモリソウ」へ ○「表紙によせて」バックナンバー |