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  表紙によせて
 学生のころ、「高尾山にシモバシラの霜柱を見に行こう」と誘われたことがあります。聞けば真冬の早朝に高尾山に登るとのこと、今以上に軟弱だったわたしは、遠慮させてもらったように記憶しています。それが今では、ためらわずにシモバシラの霜柱の撮影に出かけようという気になるのですから、不思議なものです。
 
 シモバシラは多年草で、葉や茎が枯れてしまった冬でも、休眠芽のある地表付近や地下部は生きているので、根が吸った水分が夜間に枯れた茎からしみだし、徐々に凍っていくため、明け方には写真のような氷の華へと成長するというわけです。
 
 その理屈でいえば、シモバシラだけでなくさまざまな植物でこの霜柱が見られるはずですが、その名前の由来となっているだけあって、シモバシラでこの現象は顕著です。水分を吸いあげるのは道管ですから、シモバシラの道管は、枯れてしまっても毛細管現象で水分を吸いあげやすい構造を持つのかもしれません。
 
 現地で見るシモバシラの霜柱はじつにさまざまで、茎にそって縦に細長くつくもの、リボンのように長くのびるもの、放射状に氷が広がるものなどがあります。寒い日がつづくと日中も融けることなく、氷は成長をつづけます。写真では前日にできた氷が手前に落ち、あらたな氷が茎からのびているのがわかります。
 
        (2012.1.9 東京都高尾山)

○野生植物写真館「シモバシラ」
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