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  表紙によせて
 「今朝はこの冬一番の冷えこみです」という天気予報のコメントを聞き、あわてて分厚いジャンバーをはおって市内の丘陵地へと向かいました。もうこの時期ならカンアオイが咲いているはず、と階段状の散策路を登っていくうちに、体はようやく温まってきましたが、三脚を持つ手だけはとても冷たく感じられます。ときどき三脚を持ちかえながら進んでいくと、カンアオイの特徴のある葉が目に入りはじめました。
 
 カンアオイが多く生えていたのは、雑木林となっている明るい東側の斜面で、よほど条件がよいのか、たくさんの葉を茂らせている株が多く見つかります。落ち葉をかきわけて株もとをのぞくと、萼だけで花弁のないユーモラスな花が現れました。写真の株は、葉に斑が入っていて黒っぽい花をつけていますが、近くには斑のない葉や褐色の花の株もあって、けっこうバリエーションがあります。
 
 写真をよく見ると、この冬に咲いた7つの花のほかに、去年の花が3つそのままのかたちで残っているのがわかります。カンアオイの種子は夏ごろに熟し、エライオソームと呼ばれる栄養分に富んだ付属体がついているため、これにひかれたアリによって運ばれて広がります。撮影後に失礼して去年の花を分解してみたところ、アリに持ち去られたのか、種子はどこにもないようでした。

      (2008.1.14 神奈川県鎌倉市)

       ○野生植物図鑑「カンアオイ」
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