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  表紙によせて
 サトイモ科は全体としてみれば、熱帯地方に分布の中心があるグループといえます。わたしたちの食生活に欠かせないサトイモは、熱帯アジア原産のタロイモから分化したものですし、植物園や花屋にいけば、つるになって広がるポトス、斑入りの大きな葉を持つディフェンバキア、真っ赤な苞をつけたアンスリウムなど、東南アジアや南米を原産地とするさまざまな園芸植物を目にすることができます。これらはうす暗い熱帯雨林をすみかとするだけに、光の少ない家の中でも旺盛に葉をしげらせます。また、ややグロテスクな仏炎苞を持つテンナンショウ属についてみると、熱帯アジアを中心に、西はヒマラヤ、北は日本まで広く分布しています。
 
 その一方で、ミズバショウ属、ザゼンソウ属、ヒメカイウ属など、北のほうに分布する少数派もあります。一般にもなじみ深いミズバショウザゼンソウの分布がじつは北東アジアに限られるのに対し、ヒメカイウのほうは知名度こそかなり低いものの、北半球の冷温帯に広く分布することが知られています。カナダやヨーロッパでは、湿原に群生する白い花といえば、ミズバショウではなくヒメカイウが連想されるのかもしれません。ミズバショウ以上に寒いところが好みらしく、国内の分布は北海道や東北地方が中心で、関東〜中部地方では深山の湿地などでわずかに知られているだけです。

      (2007.7.7 群馬県みなかみ町)

      ○野生植物図鑑「ヒメカイウ」
      ○「表紙によせて」バックナンバー