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表紙によせて

 ツユクサの花の色は、日本に自生するほかの植物にはあまりみられない、濁りけのない透きとおった青です。黄色い雄しべがワンポイントとなって、日本の植物でもハイセンスなものの一つといえそうです。生えるのは道ばたや畑のすみといった身近なところで、ふだんはあまり目が向けられませんが、この花が高山にあればもっと人気が高いだろうに、と思わないでもありません。夏のはじめから秋までつぎつぎと咲きつづけるツユクサですが、真夏の日ざしは苦手らしく、この時期はしおれぎみのことが多いようで、花ざかりとなるのは、暑さも一段落した9月ごろになります。

 ツユクサの写真というと、花についた朝露が日ざしを受けてキラキラとかがやいているクローズアップが定番ですが、この日の三浦半島は、残念ながら雲がたれこめていて、そのような写真は撮れそうにありませんでした。そのかわり、5つ仲よくならんだ花を見つけることができ、雲のフィルターを通したやわらかな光線のおかげで、この花本来のしっとりとした色合いを出せたのではないかと感じています。

       (2004.9.5 神奈川県三浦市)


○野生植物図鑑「ツユクサ」
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