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表紙によせて

 帰化植物はいかにも異国情緒ただようものばかりでなく、農村や海岸の風景にすっかりなじんでいるものもあって、一般には海外にルーツがあるとは認識されにくい種類も多くあります。地中海沿岸原産のスイセンはさしずめその代表でしょう。

 真冬の枯れ野で青々とした細長い葉を広げているところは、同じ科のヒガンバナとそっくりで、花の少ないこの時期の寒さにも耐え忍びながら花を開くようすも、なんだか日本の植物っぽく思えます。

 どういうわけか、海岸近くで見かけることが多く、三浦半島に取材に行こうかと思っていましたが、この時期はあまり遠出する機会もないからと、ひさしぶりに下田の爪木崎までドライブがてらでかけることにしました。

 ここでは毎冬、12月から1月にかけて「水仙まつり」が開催されていて、この日も観光客で大にぎわいでしたが、植えられた群生地で撮影してもつまらないとばかり、すこし離れたハイキングコースを歩きました。

 朝早いとあってだれもいない海辺でスイセンを見つけ、さっそくカメラを向けましたが、どうせなら海をバックに撮りたいと思いつつも、どれも花の向きが逆のものばかりでどうにもなりませんでした。
          (2015.1.11 静岡県下田市)

○野生植物写真館「スイセン」
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